Taste of Love【完】
「俺は繊細なパティシエだから、あれぐらいするんだよ」

「そう言うことにしておいてあげます」

「あぁ、わかった一生かけてお前のトラウマ克服に付き合ってやる。パティシエの彼女がスイーツ嫌いなんてどうなんだ?」

「大丈夫です。浅見さんが作ったものなら食べれますから」

肩に乗っている大悟の顔をそっと覗くと、不満そうに唇を突き出していた。

「俺の一生をお前に捧げるって言ってんのに、何その色気のない返事」

(一生を? 捧げる……)

その言葉の重みに風香は慌てた。

「あのそれって……」

「重い? でも俺はそのぐらいの覚悟でお前と一緒にいたい」

「浅見さ……」

風香の唇に大悟の人差し指がそっと触れた。

「大悟だろ。ぶー子」

(自分だって私のことぶー子なんて呼ぶくせに)

「今までいろんなことを諦めてきた。お前のことも一度は諦めたつもりだった。だからこの手に入った今、二度と離すつもりなんてねーから」

大悟が風香を自分の方へと向けた。

真正面から見つめられその距離に風香は恥ずかしくなる。
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