Taste of Love【完】
「元気そうだな。大丈夫そうで安心した」
ふわりと陽だまりのような笑顔を向けられて、はじめて見る翔太のその笑顔に風香の胸はドキンと脈打つ。
翔太はクラスでは無口なほうだ。男子とバカ騒ぎしたりするタイプではないがいつも誰かに囲まれてる。正直遠目からみてもカッコイイ翔太目当てに休み時間教室をのぞきに来る子がいるほどの甘いマスクだが、そのことをちっとも気にかけていない様子に好感が持てる。
風香はまさか自分がクラスでも人気の彼と、こんな風に誰もいない保健室で二人きりになるなんて思ってもいなかった。
「お礼は、お菓子でいいよ」
「お菓子?」
翔太のほうからお礼の催促があるなんて思ってもみなかった。
「お前ときどき女子に配ってるだろ。あれ俺にもちょうだい」
バケツに入った風香の足を支えたまま翔太が風香を見つめる。
「あんなもので良ければいつでも持ってくるけど……」
ただの趣味で作ったお菓子だ。家族はダイエットだとか甘いものが嫌いだからだとかで最近は食べてくれなくなったので学校へ持ってきていた。
(そんなものでいいの?)
「やった!楽しみにしてる」
ニコニコと嬉しそうに笑う翔太につられて風香は足の痛いのも忘れて一緒にほほ笑んでいた。
するとそこに養護教諭が戻ってきた。
「留守にしてごめんなさいね。冷やしてくれてるの?」
そう翔太に尋ねる。
「はい、湿布とかは勝手に使えないんで」
「ありがとう。後は私がやるからあなたはもう帰りなさい」
養護教諭に言われて、風香のまえで立て膝をついていた翔太がすくっと立ち出口へ向かっていく。
「あの、色々本当にありがとう」
風香がそう声をかけると、背中を向けたまま右手をひらひらしながら、後ろ手でドアを閉めて出て行った。
これが二人会話を交わした最初だった。
ふわりと陽だまりのような笑顔を向けられて、はじめて見る翔太のその笑顔に風香の胸はドキンと脈打つ。
翔太はクラスでは無口なほうだ。男子とバカ騒ぎしたりするタイプではないがいつも誰かに囲まれてる。正直遠目からみてもカッコイイ翔太目当てに休み時間教室をのぞきに来る子がいるほどの甘いマスクだが、そのことをちっとも気にかけていない様子に好感が持てる。
風香はまさか自分がクラスでも人気の彼と、こんな風に誰もいない保健室で二人きりになるなんて思ってもいなかった。
「お礼は、お菓子でいいよ」
「お菓子?」
翔太のほうからお礼の催促があるなんて思ってもみなかった。
「お前ときどき女子に配ってるだろ。あれ俺にもちょうだい」
バケツに入った風香の足を支えたまま翔太が風香を見つめる。
「あんなもので良ければいつでも持ってくるけど……」
ただの趣味で作ったお菓子だ。家族はダイエットだとか甘いものが嫌いだからだとかで最近は食べてくれなくなったので学校へ持ってきていた。
(そんなものでいいの?)
「やった!楽しみにしてる」
ニコニコと嬉しそうに笑う翔太につられて風香は足の痛いのも忘れて一緒にほほ笑んでいた。
するとそこに養護教諭が戻ってきた。
「留守にしてごめんなさいね。冷やしてくれてるの?」
そう翔太に尋ねる。
「はい、湿布とかは勝手に使えないんで」
「ありがとう。後は私がやるからあなたはもう帰りなさい」
養護教諭に言われて、風香のまえで立て膝をついていた翔太がすくっと立ち出口へ向かっていく。
「あの、色々本当にありがとう」
風香がそう声をかけると、背中を向けたまま右手をひらひらしながら、後ろ手でドアを閉めて出て行った。
これが二人会話を交わした最初だった。