Taste of Love【完】
風香は週明けの月曜日約束通り翔太にクッキーを作ってきていた。
ただどうやって渡すのかが至難の業だった。
今まで全く会話を交わしていない二人が教室で急に話を始めるなどということは、思春期の高校生の間では瞬く間に噂になってしまう。
そうやって思いつめているうちに午後の授業が始まる時間になってしまった。
理科実験室に移動しないといけない。風香はこのすきに机にクッキーをしのばせようと、忘れ物をしたと友達に告げて一度教室へと戻ってきていた。
机の横にかけてあったバッグからクッキーを取りだして、翔太の机に入れようとしていたときに「なーにやってんの?」と声がかけられ風香が思わず、ビクリとしてしまう。
振り返るとそこにはクスクス笑う翔太本人が立っていた。
「三栖くんっ!」
「朝からこっちに視線送ってきてくれてるからいつ渡してもらえるんだろうって期待してたのに」
そう言いながら風香に近づき、その手からクッキーを取り上げる。
「おっ!クッキーじゃん。美味そう」
そう言うとすぐにラッピングを取って一つつまみ口に入れた。
風香にとって父親以外の男性に初めて食べさせる手作りのもの。それだけに一番自信のあるものを作ったのだが、相手の反応が気になる。
「お、おいしい?」
不安げにそう尋ねる風香に翔太は満面の笑みで返す。
「めちゃくちゃうまい!お前天才だな」
そう言って次々に風香の作ってきたクッキーが、翔太の口に運ばれる。
そして風香が苦労して包んだラッピングの中身はあっという間に空になった。
ただどうやって渡すのかが至難の業だった。
今まで全く会話を交わしていない二人が教室で急に話を始めるなどということは、思春期の高校生の間では瞬く間に噂になってしまう。
そうやって思いつめているうちに午後の授業が始まる時間になってしまった。
理科実験室に移動しないといけない。風香はこのすきに机にクッキーをしのばせようと、忘れ物をしたと友達に告げて一度教室へと戻ってきていた。
机の横にかけてあったバッグからクッキーを取りだして、翔太の机に入れようとしていたときに「なーにやってんの?」と声がかけられ風香が思わず、ビクリとしてしまう。
振り返るとそこにはクスクス笑う翔太本人が立っていた。
「三栖くんっ!」
「朝からこっちに視線送ってきてくれてるからいつ渡してもらえるんだろうって期待してたのに」
そう言いながら風香に近づき、その手からクッキーを取り上げる。
「おっ!クッキーじゃん。美味そう」
そう言うとすぐにラッピングを取って一つつまみ口に入れた。
風香にとって父親以外の男性に初めて食べさせる手作りのもの。それだけに一番自信のあるものを作ったのだが、相手の反応が気になる。
「お、おいしい?」
不安げにそう尋ねる風香に翔太は満面の笑みで返す。
「めちゃくちゃうまい!お前天才だな」
そう言って次々に風香の作ってきたクッキーが、翔太の口に運ばれる。
そして風香が苦労して包んだラッピングの中身はあっという間に空になった。