Taste of Love【完】
***
風香はその日一日中翔太の様子をうかがっていた。まるで初めてクッキーを渡したときのように。
なので翔太が休み時間に何度か女子に呼び出されて、紙袋を持って戻ってくるのを風香は見ていた。初めての告白の前に心が折れそうになる。でも自分には今日しかチャンスがないんだと奮い立たせて、チャンスをうかがっていた。
教室をでる翔太を確認した風香はブラウニーを持って追いかけた。
風香よりもはるかに長い脚の翔太に追いついたのは、はじめて二人が言葉をかわした階段だった。
「翔太――」
急いで追いかけたのと緊張とで少し息がはねる。
振り向く翔太は「ん?」という顔を見せていた。
「あの、これチョコなんだけど……」
「チョコ?それってバレンタインの?」
二人で会話をしていると、風香の後ろから声がかかる。
「三栖~!お前今日これで何個目だよ!すげ~な。俺にも後でわけてくれよな」
翔太と同じ部活の部員二、三人が二人を冷やかすように声をかけながら通りすぎていく。
その冷やかしに急に恥ずかしくなった風香は思わず思ってもいないことを口にした。
「あの!義理チョコだから。深い意味なんてないから」
ぎこちない笑顔を張り付けて、紙袋を翔太に差し出す。
するとみるみる翔太の顔は不機嫌になり、低い声でこう言われた。
風香はその日一日中翔太の様子をうかがっていた。まるで初めてクッキーを渡したときのように。
なので翔太が休み時間に何度か女子に呼び出されて、紙袋を持って戻ってくるのを風香は見ていた。初めての告白の前に心が折れそうになる。でも自分には今日しかチャンスがないんだと奮い立たせて、チャンスをうかがっていた。
教室をでる翔太を確認した風香はブラウニーを持って追いかけた。
風香よりもはるかに長い脚の翔太に追いついたのは、はじめて二人が言葉をかわした階段だった。
「翔太――」
急いで追いかけたのと緊張とで少し息がはねる。
振り向く翔太は「ん?」という顔を見せていた。
「あの、これチョコなんだけど……」
「チョコ?それってバレンタインの?」
二人で会話をしていると、風香の後ろから声がかかる。
「三栖~!お前今日これで何個目だよ!すげ~な。俺にも後でわけてくれよな」
翔太と同じ部活の部員二、三人が二人を冷やかすように声をかけながら通りすぎていく。
その冷やかしに急に恥ずかしくなった風香は思わず思ってもいないことを口にした。
「あの!義理チョコだから。深い意味なんてないから」
ぎこちない笑顔を張り付けて、紙袋を翔太に差し出す。
するとみるみる翔太の顔は不機嫌になり、低い声でこう言われた。