Taste of Love【完】
***
「おまえこれでも女子か?持って生まれた性別を無視してこの企画だしてる?」
翔太は風香の作った企画書で机を叩いている。風香は翔太のデスクの横でぐっと唇を噛んでいた。
「一応そのつもりです」
その返事が気に入らなかったのだろう、キッと一瞬こちらをにらんだ。
「お前の企画書が一番ダメだ。この程度の企画なら新入社員でもできる」
風香は厳しい意見にぐっと拳を握る。
「ただ、これは見込みがあるかもしれない。こういう視点はほかの奴からは出てこない。もう一回掘り下げて、今日中に出し直せ」
三つあった企画書の内の一つを指差す。
「わかりました。失礼します」
頭を下げてデスクに戻る。翔太の席だけ他の社員とは少し離れているとはいえ、風香のデスクとの距離はわずか二、三歩だ。でもその間でさえ溜息を我慢することができなかった。
二回目の溜息をつくと同時に椅子に座る。企画書を再度ながめてもう一つ溜息。
「幸せダダ漏れですよ」
横から雅実が声をかけて来た。ばっさり切られた風香を憐れみの目で見ている。
「もともとないものが漏れるとは思えないけど……」
苦笑いで返すと、水玉の可愛い付箋に「ファイト!」と書いて私のパソコンにペタッと貼った。そして二コリと笑い自分の仕事に戻る。
雅実はこういうところがたまらなくかわいいのだ。風香は後輩の心遣いに感謝して企画書を仕上げるべく気合を入れた。
「おまえこれでも女子か?持って生まれた性別を無視してこの企画だしてる?」
翔太は風香の作った企画書で机を叩いている。風香は翔太のデスクの横でぐっと唇を噛んでいた。
「一応そのつもりです」
その返事が気に入らなかったのだろう、キッと一瞬こちらをにらんだ。
「お前の企画書が一番ダメだ。この程度の企画なら新入社員でもできる」
風香は厳しい意見にぐっと拳を握る。
「ただ、これは見込みがあるかもしれない。こういう視点はほかの奴からは出てこない。もう一回掘り下げて、今日中に出し直せ」
三つあった企画書の内の一つを指差す。
「わかりました。失礼します」
頭を下げてデスクに戻る。翔太の席だけ他の社員とは少し離れているとはいえ、風香のデスクとの距離はわずか二、三歩だ。でもその間でさえ溜息を我慢することができなかった。
二回目の溜息をつくと同時に椅子に座る。企画書を再度ながめてもう一つ溜息。
「幸せダダ漏れですよ」
横から雅実が声をかけて来た。ばっさり切られた風香を憐れみの目で見ている。
「もともとないものが漏れるとは思えないけど……」
苦笑いで返すと、水玉の可愛い付箋に「ファイト!」と書いて私のパソコンにペタッと貼った。そして二コリと笑い自分の仕事に戻る。
雅実はこういうところがたまらなくかわいいのだ。風香は後輩の心遣いに感謝して企画書を仕上げるべく気合を入れた。