Taste of Love【完】
◆おかしなお菓子職人
「おはようございます」
元気よく企画室に入って挨拶をする。目が合った盛岡さんがにこやかに挨拶をかえしてくれる。
始業時間一時間前だがすでに、雅実以外は出社していた。風香も自分の席に座り仕事の準備を始めた。
先日のミーティングで風香の案をベースにこれから企画を進めて行くことに決定した。
風香本人は配属されたときに抱えていた不安が、企画が採用されたことによって少しだけ解消された気がする。
向かいの席の佐々木と世間話を交えながら仕事の話をしていると、少し離れたデスクから翔太に呼ばれた。
「今から一緒に外に出れるか?」
「はい。大丈夫ですけど……?」
「浅見 大悟(あさみ だいご)にアポが取れた。お前の企画とコラボさせるつもりだ」
肘をついた姿勢でさらっと話す様子に風香の思考が付いていかない。
「浅見……浅見大悟ってあの、浅見大悟ですか?」
「あの以外どの浅見大悟がいるんだ?」
くすくす笑う翔太だったが、風香の驚き方が尋常ではなかったのだから仕方ない。
浅見大悟――フランス帰りの新進気鋭のパティシエで半年前に一号店を開店。瞬く間に有名になり、店は連日行列ができている。
味もさることながら見かけも繊細でため息がでるほどだ。
その美しさに世の女性が魅了されないはずがなかった。
スイーツを食べない風香でも知っている超有名人だ。
その浅見とアポイントがとれたというのだ。驚かずにいられようか。
それにこれだけ有名なのにもかかわらず顔写真が一枚も世に出回っていない。
噂では本人が写真嫌いだからと言われているけれど本当のところどうなのだろう?
「何だか色々頭の中で忙しそうだが、そろそろ出ないと間に合わないぞ」
そう言われて風香は我に返った。
「あっ!資料」
あわてて仕事モードに切り替える。
「大丈夫だ。俺が準備してある。いいからお前は少し落ち着け」
元気よく企画室に入って挨拶をする。目が合った盛岡さんがにこやかに挨拶をかえしてくれる。
始業時間一時間前だがすでに、雅実以外は出社していた。風香も自分の席に座り仕事の準備を始めた。
先日のミーティングで風香の案をベースにこれから企画を進めて行くことに決定した。
風香本人は配属されたときに抱えていた不安が、企画が採用されたことによって少しだけ解消された気がする。
向かいの席の佐々木と世間話を交えながら仕事の話をしていると、少し離れたデスクから翔太に呼ばれた。
「今から一緒に外に出れるか?」
「はい。大丈夫ですけど……?」
「浅見 大悟(あさみ だいご)にアポが取れた。お前の企画とコラボさせるつもりだ」
肘をついた姿勢でさらっと話す様子に風香の思考が付いていかない。
「浅見……浅見大悟ってあの、浅見大悟ですか?」
「あの以外どの浅見大悟がいるんだ?」
くすくす笑う翔太だったが、風香の驚き方が尋常ではなかったのだから仕方ない。
浅見大悟――フランス帰りの新進気鋭のパティシエで半年前に一号店を開店。瞬く間に有名になり、店は連日行列ができている。
味もさることながら見かけも繊細でため息がでるほどだ。
その美しさに世の女性が魅了されないはずがなかった。
スイーツを食べない風香でも知っている超有名人だ。
その浅見とアポイントがとれたというのだ。驚かずにいられようか。
それにこれだけ有名なのにもかかわらず顔写真が一枚も世に出回っていない。
噂では本人が写真嫌いだからと言われているけれど本当のところどうなのだろう?
「何だか色々頭の中で忙しそうだが、そろそろ出ないと間に合わないぞ」
そう言われて風香は我に返った。
「あっ!資料」
あわてて仕事モードに切り替える。
「大丈夫だ。俺が準備してある。いいからお前は少し落ち着け」