Taste of Love【完】
◆王様のいうことは絶対
調理室には、風香の作った試作品を口に運ぶ雅実の姿があった。
伺うようにして雅実の反応を見る風香に、雅実は親指をたててにっこりと笑った。
「これなら明日の会議うまくいきますよ!」
笑顔の雅実につられて風香も笑顔になる。
しかしその顔色は、青白く目元にはひどいクマができていた。
「でも大丈夫ですか?体調悪そうですけど」
心配そうな雅実に笑顔で「ちょっと無理をしただけ」と答える。
本当は風香にとっては“ちょっと”の無理ではなかった。
連日遅くまで試作品を作り、苦手な“スイーツ”を味見してきた。
食べられないわけでもない。味がわからないわけでもない。
ただ気分が悪くなるだけなんだからと、自分に訳の分からない言訳をしてどうにか作業をすすめた。
もちろん大悟にも相談したうえで作った試作品だが、大悟が忙しく最終のチェックは明日の会議になってしまった。
自分の味覚が信用できない今は雅実に頼ることでなんとか作り上げたが、最初の一日で胃のムカつきを感じ、二日
目には退社時間になるとトイレに駆け込み嘔吐するということを繰り返し、この三週間ほどまともな食事をとってなかった。
伺うようにして雅実の反応を見る風香に、雅実は親指をたててにっこりと笑った。
「これなら明日の会議うまくいきますよ!」
笑顔の雅実につられて風香も笑顔になる。
しかしその顔色は、青白く目元にはひどいクマができていた。
「でも大丈夫ですか?体調悪そうですけど」
心配そうな雅実に笑顔で「ちょっと無理をしただけ」と答える。
本当は風香にとっては“ちょっと”の無理ではなかった。
連日遅くまで試作品を作り、苦手な“スイーツ”を味見してきた。
食べられないわけでもない。味がわからないわけでもない。
ただ気分が悪くなるだけなんだからと、自分に訳の分からない言訳をしてどうにか作業をすすめた。
もちろん大悟にも相談したうえで作った試作品だが、大悟が忙しく最終のチェックは明日の会議になってしまった。
自分の味覚が信用できない今は雅実に頼ることでなんとか作り上げたが、最初の一日で胃のムカつきを感じ、二日
目には退社時間になるとトイレに駆け込み嘔吐するということを繰り返し、この三週間ほどまともな食事をとってなかった。