Taste of Love【完】
「確かに男性だとそう思うかもしれません。ですが今回のターゲットは二五歳以上の女性です。仕事帰りに、子供のお昼寝の間に、ちょっとした時間を少しだけグレードアップさせるそういう商品を目指しています。この商品のみかけとカラトリー類をわざわざ使うひと手間が逆に大事になってくるのではと思うのです」

言い切った風香に部長は「そういうもんかね~」と呟く。

「コストについてはまだ考える余地がありそうだな」

常務が突っ込んで聞いてくる。

実は一番聞かれたくなかったところだ。だからこそちゃんと上の人にばれたのだろう。

「それは……」

風香が答えようとしたところに翔太が声をあげた。

「それについては私から説明します。結城は座って」

資料をめくりながら、常務のするどい突っ込みにも難なく答えている。

いつの間にそこまで考えていたのだろうか。下から見上げる翔太の顔が頼もしく見える。

(正直助かった。気分も悪い……)

緊張がとけて、一気に体調の悪さを感じた。

あともう少しで会議が終わる。それまでの辛抱だ。そう考えながらもGOサインが出るように祈るような気持ちでその場に座っていた。

「俺からもちょっといい?」
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