Taste of Love【完】
「浅見さん……」
「どう?調子は?」

そういいながらベッドに腰掛ける。

「あの、大丈夫です、それよりも……」

あのシュークリームのどこがいけなかったのか知りたい。

起き上がろうとする風香を手でとめる。

「お見舞いに来ただけだらから。これ食べて」

差し出されたのは風香が最も苦手とする“チョコレート”だった。

「あの、えーっと。いま体調が悪いので後で食べます」

無難に答えたつもりだった。本来ならこれでOKのはずなのに、どうやら大悟相手には通用しないようだ。

「どうして?俺の作ったチョコレートこれ非売品だから“スイーツ好き”の女子なら、食べれば一発で元気になるよ」

「あのでも今、あっまだ虫歯が……」

「嘘つけ、ぶー子」

大悟が先日つけたばかりのあだ名で呼ぶ。

「お前、甘いもの喰えないんだろう?」

まさかと思い風香は、自分の耳を疑った。

「な、何言ってるんですか?そんなはず――」

「じゃあ喰ってみろ」

「だから……」

「喰えないんだろう?」

 風香の言葉など、聞いていないという態度だ。
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