Taste of Love【完】
「食べられないわけじゃないんです。ただ食べると全部戻しちゃう――」

追い詰められて思わず本当のことを話してしまい、慌てて口をふさぐ。

「あぁやっぱりな。この俺様のケーキを断ったときからなんか変だと思ってたんだ」

「……言わないで」

「はぁ?」

「誰にも言わないでほしいんです。やっと自分の企画が形になりはじめたのに、こんな時に企画からはずされでもしたら……」

すがるようにして大悟の右腕を握る。

泣きたくないのに、目に涙が浮かんだ。

「別に誰かにいうつもりなんてなかったんだけどな……そこまでいうなら黙っていてやる。ただしこの企画の最中は
俺の言うことを絶対聞くこと」

突拍子もない申し出に、出かけた涙が止まる。

「へ?何いってるんですか?」

「だから、お前は俺のいうことに絶対服従な。お前の重大な秘密守ってやるんだからそれぐらいできるだろ?」

「ぜ、絶対服従って――そんな……」

眉を寄せて情けない顔の風香。それを見ただけで拒否ととれるだろうが大悟はそれを認めない。

「俺は別にいいんだぞ。お前の秘密がばれても痛くもかゆくもない。」

もしこの秘密がばれたらどうしよう。いくら「仕事に支障ありません」と言ってみたところで、何か一つでも失敗したらそれを理由に責められるだろう。
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