Taste of Love【完】
二十分ほど車を走らせて到着したのは、純和風の一軒家だった。
車を家の横にある車庫に止め、エンジンを切ると鍵を指でくるくる回しながら車外へ降りた。
風香も急いであとを追って降りる。
引き戸の門をくぐると、そこには玉砂利がきれいに敷いてあった。
決して新しくはないその建物はきちんと手入れが施されており、どこか懐かしさを感じさせた。
さっさと前を歩く大悟に続いて、玄関をくぐる。
すでに大悟は鼻歌を歌いながら、靴を脱いでずんずんと廊下を歩いていた。
「ちょっと待ってください。あの、誰もいないみたいですけどおうちの方は……」
後ろから必死でついていきながら風香が尋ねた。
「何?俺、ひとり暮らしだけど」
くるっと振り向いて「言ってなかった?」と言われる。
「聞いてないです。こんな広いところにひとりで住んでいるんですか?」
まさか一軒家にひとりで住んでいるなんて思ってもいなかった風香は、そのままその疑問をぶつけた。
「昔は家族で住んでたよ。でも今は俺ひとり」
キッチンまでたどり着いて、すぐに冷蔵庫をあけ風香を見ずに答えた。
まずいことを聞いてしまったと思い、次に発する言葉を考えていると――
「冷蔵庫にあるもんで適当に何か作って。マジ腹減って死にそう」
振り向いたその顔には、空腹で情けない顔をしてはいるが、傷ついた様子はなかった。
車を家の横にある車庫に止め、エンジンを切ると鍵を指でくるくる回しながら車外へ降りた。
風香も急いであとを追って降りる。
引き戸の門をくぐると、そこには玉砂利がきれいに敷いてあった。
決して新しくはないその建物はきちんと手入れが施されており、どこか懐かしさを感じさせた。
さっさと前を歩く大悟に続いて、玄関をくぐる。
すでに大悟は鼻歌を歌いながら、靴を脱いでずんずんと廊下を歩いていた。
「ちょっと待ってください。あの、誰もいないみたいですけどおうちの方は……」
後ろから必死でついていきながら風香が尋ねた。
「何?俺、ひとり暮らしだけど」
くるっと振り向いて「言ってなかった?」と言われる。
「聞いてないです。こんな広いところにひとりで住んでいるんですか?」
まさか一軒家にひとりで住んでいるなんて思ってもいなかった風香は、そのままその疑問をぶつけた。
「昔は家族で住んでたよ。でも今は俺ひとり」
キッチンまでたどり着いて、すぐに冷蔵庫をあけ風香を見ずに答えた。
まずいことを聞いてしまったと思い、次に発する言葉を考えていると――
「冷蔵庫にあるもんで適当に何か作って。マジ腹減って死にそう」
振り向いたその顔には、空腹で情けない顔をしてはいるが、傷ついた様子はなかった。