Taste of Love【完】
「まぁだまって、さっさと飯食えよ」

そう言ったかと思うと、果物ナイフで器用に果物を切っていく。

大悟の大きな手が、繊細に果実を飾りたてていく。

それはすでに芸術と呼んでもいいほどだ。

「これなら食えるだろ？お前果物は食べてたもんな」

確かにスイーツは受け付けないが、フルーツは大好物だ。

（今までフルーツだけ食べて誤魔化していたのまで見られていたなんて……）

大悟の観察力の鋭さに驚き、またそんな彼だからこそあの繊細で優美なお菓子が作れるのだとも思った。

「どうぞ。日本の果物はスイーツと言っても過言じゃない。世界のどこよりも品質がいい」

そう言って、彼の手で綺麗にカットされたフルーツたちが並ぶ皿を差し出された。

「ありがとうございます」

目の前のフルーツをみて心が躍る。味だけではなく、そのビジュアルでも食べるものを満足させる技術を持つ大悟は、やはり有名パティシエなのだと改めて実感した。

パイナップルを口に運ぶと、酸味と甘みが口の中に広がる。
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