Taste of Love【完】
◆理想の上司と報酬泥棒
時計を見れば午後九時半。
風香は今日も残業していた。いつもなら他に人影もあるのに今日は誰ひとりとして残っていない。
(もうこんな時間。切りのいいところまで仕上げなきゃ)
肩は痛いし足もむくんでパンパンだったがそれでも、順調にすすんでいく仕事がうれしくて毎日時間はあっという間に進んでいく
もう一頑張り。そう思い体を背もたれに押し付けて両手を上にあげて伸びをしていると背後に人影を感じて振り向くと、下のコンビニの袋を下げた翔太が立っていた。
「まだ残ってたのか?」
「お疲れ様でーす」
他に誰もいないこともあって、いつもよりも間延びした挨拶がおかしかったのか、「なんだよそれ」と言いながら翔太がクスクスと目元に皺をよせて笑っている。
「風香、ここのところ毎日残業してるだろ?また倒れるぞ」
さっきまでの笑顔が顔から消えて、眉間にしわが寄る。
(心配……してくれてるんだな。翔太はやっぱり翔太だ)
思えば高校のとき出会ってから、助けてもらってばかりだな。
風香はふとそんな風に思うと自然と「ありがとう」という言葉が出てきた。
風香は今日も残業していた。いつもなら他に人影もあるのに今日は誰ひとりとして残っていない。
(もうこんな時間。切りのいいところまで仕上げなきゃ)
肩は痛いし足もむくんでパンパンだったがそれでも、順調にすすんでいく仕事がうれしくて毎日時間はあっという間に進んでいく
もう一頑張り。そう思い体を背もたれに押し付けて両手を上にあげて伸びをしていると背後に人影を感じて振り向くと、下のコンビニの袋を下げた翔太が立っていた。
「まだ残ってたのか?」
「お疲れ様でーす」
他に誰もいないこともあって、いつもよりも間延びした挨拶がおかしかったのか、「なんだよそれ」と言いながら翔太がクスクスと目元に皺をよせて笑っている。
「風香、ここのところ毎日残業してるだろ?また倒れるぞ」
さっきまでの笑顔が顔から消えて、眉間にしわが寄る。
(心配……してくれてるんだな。翔太はやっぱり翔太だ)
思えば高校のとき出会ってから、助けてもらってばかりだな。
風香はふとそんな風に思うと自然と「ありがとう」という言葉が出てきた。