Taste of Love【完】
「……いかがでしょうか?」

午後の業務開始すぐに始まった会議。まず初めに再度コンセプトを説明してから試食へと移った。

「うん。いいね。今までにかった商品だ。いかがですか?常務」

企画部長は一口食べると、常務へと意見を求めた。

「あぁ、これなら秋シーズンの目玉商品になるよ」

前回の会議とは手ごたえがまるで違った。

(あとはコストだ)

実はこれが一番難問だった。

色々とやってみたが、明確なコストの削減には至っていない。

「で、コストの件はどうなってる?」

さっそく企画部長から話を振られた。

「はい。今回の召し上がれシリーズについては他の既存商品とは違う路線での提供を考えております。ですので価格についても従来のものよりも、幾分高めに設定してあります」

企画部長が渋い顔をする。

「しかし材料や見た目の高級感、味に至るまで、その分の満足度は十分に……」

「しかし、このご時世十円違えば消費者の反応が大きく変わってくる。そこは十分に加味されているのかね?」

風香は鋭い突っ込みに、口をつぐんでしまう。

(たとえ値段が高くても選んでもらえる自信はあるのに!)

「安寧芋の価格については、コストの見直しを行いましたが正直これ以上はカットできないです。でも……」
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