Taste of Love【完】
◆疲労の慰労会
いつしか蝉の鳴き声が聞こえなくなり、コンビニに秋商品が並び一カ月ほどたったある日。
スイーツ企画室のメンバーは、企画成功のお祝いと称して行きつけの居酒屋に集合していた。
正確には企画室メンバーだけでなく、この企画に携わった宣伝課や営業課、そして何故か総務課のメンバーまでもがいて会場は結構な人数になっていた。
「では、召し上がれシリーズの成功を祝してかんぱーい」
松林の声で飲み会が始まった。
「今回の企画よかったよ~」
声をかけてくくれたのは宣伝課の三谷さんだ。
彼は盛岡のひとつ下。風香から見れば二年先輩だ。
「宣伝課でも今回ほど手ごたえのある仕事も、久々だって話してたんだよ」
上機嫌にビールのジョッキを傾けながら、風香をねぎっらってくれる。
(売上がいいのはもちろん嬉しいけど、社内の評価がいいっていうのもうれしいな)
「でも今回は彼の名前があっての企画ですから」
そう言って風香が視線を向けた先には、大悟が女子社員に囲まれて座っていた。
「まぁ確かにそれはそうだけど」
「それに彼を引っ張ってくれたのは室長ですし。私だけではどうにもなりませんでした」
ごくりとビールを一口飲んで「もちろん宣伝課さんのお力のおかげだと思ってますよ」と付け加えた。
「それはそうだろうな」とがはははと三谷が笑った。
「しかし浅見氏の効果は絶大だったな。正直あそこまでとは……」
風香もそれは身をもって感じていた。