Taste of Love【完】
今回は発売と同時に売上が大きく伸びた。はじめはパティスリーアサミを耳にした人の購買が多かったのだとは思うが、主婦雑誌に掲載されてから全国的に売れた。

この手の商品は第一週で数字が出ることはあまりない。

しかし今回の企画については、はじめから大きく数字が動いていた。

中でも風香の企画した『安寧芋のシュークリーム』は品切れをおこすこともしばしばだった。

「なにはともあれお疲れ!次の企画も期待してるからな」

ドンっと背中をたたいて三谷が元の席に戻っていった。

「結城先輩~今回本当によかったですね。最初の企画だったから成功してホント嬉しいれす」

「雅実ちゃん……もう酔ってる?」

「いいえ、酔ってましぇん」

(完全に酔ってる……でもかわいいな)

「心配してたんですよ。先輩急に倒れたり、かなり無理してたから……」

急に瞳に涙を浮かべ始めた。

(ちょ。ちょっとヤバい、こんなところで泣かないでぇ)

「雅実ちゃん、ありがとうね。雅実ちゃんのおかで色々本当に助かってるから」

「ほんどぉでずがぁ~?」

今にも泣き出しそうな雅実。風香は周りを見渡して営業課のメンバーが座っているところに声をかけた。

「山中く~ん、雅実ちゃん潰れそう!」

そういうとひょいっと少し小柄な男性がその場にたった。そしてすぐに風香と雅実のそばに寄ってきた。
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