Taste of Love【完】

たっぷり楽しんだ後、お開きとなり会場の居酒屋の前で解散となった。

「三栖室長~帰り同じ方向ですよね?タクシー一緒してください」

翔太は松林に誘われて、腕を引かれている。

「あぁ、結城は大丈夫か?結構飲んでたけど」

心配そうにのぞきこまれてドキッとする。

(こんな近くで……酒臭いから困る!)

「だ、大丈夫です!私ざるなんで。電車もあるし帰れますよ」

一歩下がって距離を取る。

「そうか、だったら気を付けて帰れよ」

松林に引っ張られながらも、最後まで風香を気にかけてタクシーに乗り込んだ。

手を振ってふたりが乗ったタクシーを見送る。

(最後まで話できなかったから、挨拶ぐらいはしておこう)

女子社員に二次会に誘われている大悟に声をかけた。

「浅見さん、今回はありがとうございました。今後もよろしくお願いします!」

ガバっと頭を下げてから駅へと向かった。

駅に向かう間も、飲み会に参加していたメンバーに会うたびに挨拶をしていていつもよりも時間がかかった。

駅のホームで電車が来るのを待っていると、背後から足音が聞こえて肩をつかまれて振り向かされた。

「きゃっ!」

(な、何?)

強引に振り向かされたそこには、大悟が立っていた。
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