Taste of Love【完】
「はぁ……やっと追いついた。アイツらホント、しつけぇ、はぁ……」
「あの……走ってきたんですか?わざわざ?」
「悪いか?」
「いえ、悪くはないですけど……あの、二次会行かなかったんですか?」
(っていうか、なんで走ってきたの?)
「誰があんな面倒な付き合い喜んで行くんだよっ!」
少しウエーブがかった前髪をクシャとかきあげて「はぁー」と大きな息を吐いた。
「そうなんですか?楽しそうにしてたので行くんだと思っていました」
思わずつっけんどんな態度を取ってしまう。
(謝らないといけないんだろうけど……キスされた私から謝るってどうなの?)
もんもんする風香をよそに、大悟はすぐ横に立って一緒に電車を待っている。
(あれ?そもそも浅見さんの家の方向こっちじゃないよね?)
「お前さぁ……」
「はいっ!」
いきなりで大きな声が出た。隣にいたサラリーマンがチラリとこちらを見る。
(は、恥ずかしい……いきなり話かけるから、変な声出たっ)
「なに、でかい声だしてんの?」
大悟は眉間に皺をよせて怪訝そうな顔をしていた。
「急に話かけてくるから、ちょっとびっくりしただけです」