Taste of Love【完】
「それならよかった。あ、それと来週火曜日お前、本田の結婚式行くんだろ?」
「真奈美の? 来週だったっけ? 祝日だから早く美容院予約しないと!」
壁に掛けてあるカレンダーを確認する。
「おいおい、大丈夫かよ。友達の結婚式忘れるなんて、仕事し過ぎだぞ」
「だって、上司が厳しくて……」
「おいおい、俺のせいかよ。でも久々に高校のメンバーで集まれるな」
電話口では楽しそうに笑う声が聞こえた。
「翔太も行くの?」
「あぁ、新郎側で招待されてる。サッカー部の先輩なんだ。宮本先輩知ってるだろ?」
(そう言えば、招待状もらっておめでとうメールしただけだった。相手も知らないなんて……)
社会人になって疎遠になっているにしても、あまりにもお粗末だ。風香は反省した。
「そっか。サッカー部で何か余興するの?」
「あ、そうそう伝統のがあるんだよ。当日楽しみにしておいて」
それから他愛もない話をして「ちゃんと風呂入って寝ろよ」と父親みたいなことを言われ電話が切れた。
通話時間を確認すると一時間八分。
翔太とする会話は途切れることがない。次々が浮かんでくる。
色々あった今日だけど、楽しい気持ちで一日が終われそうな気がした。