Taste of Love【完】
「本当に式も披露宴も素敵だったね」

由利に話しかけられて、風香も頷いた。

由利のほかにも久しぶりにみる面々と話は弾んだ。

高校最後の一年間は一緒にすごしていないものの、風香も楽しい思い出話に花を咲かせた。

新郎側の余興では、翔太も参加して大いに盛り上がったし、花嫁の両親への手紙には、涙腺が崩壊して大泣きしてしまった。

そして二次会の会場に移動する前に、化粧をなおそうと由利とともに化粧室にいた。

「由利ちゃんは、二次会行かないんだよね?」

「うん、一応妊婦だからね。お酒も飲めないし。旦那が心配するから」

(由利ちゃんも幸せそうだな。結婚っていいな)

自分にはまだまだ先のことだが、やっぱり憧れる。鏡の中の由利と目が合うと、急に由利の顔が曇った。

「どうしたの?」

さっきまで幸せそうだったのに、急に表情が曇った由利を風香が心配する。

「……私、風香ちゃんに謝らなきゃいけないことがあって」

「え? 私に?」

突然のことで驚く。今日はお互い楽しく過ごしたはずだ。

「高校二年生の時、風香ちゃんが引っ越して言ったあとね、私、三栖君に風香の連絡先を教えてほしいって言われたの」

携帯が壊れて、番号を変更した。その時仲のいい友達には教えていたのだ。

由利にももちろん教えていた。

「私、勝手には教えられないから風香ちゃんに聞いてから教えるって言ったの」

「うん」

風香はとにかく今は最後まで話を聞こうとそう思った。
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