Taste of Love【完】
「はいはい。痴話喧嘩はここまで。私たちが見せつけようと思ってたのに、反対に見せつけられるなんて思ってもみなかったわ」

「別に見せつけてなんかないのに」

唇を尖らせる風香の前にビールが運ばれてきた。

「じゃぁ、改めて宮本夫妻、結婚おめでとう!」

 翔太の掛け声で全員がジョッキを持ちあげて乾杯をした。


真奈美たちの新婚旅行の話から、高校時代の話まで終電間際まで話は途切れることなく続いた。

「そうだ、ふたりにお土産」

真奈美が取り出したのは、オーストラリアの土産でコアラのついたストラップだった。

「なに、どうしてお土産これなの?」

「だって、このコアラ風香にそっくりでしょ?」

「あぁ、何かに似てると思ってたら、風香だったか」

「もう、翔太まで何言ってるのよ!」

「いいじゃん、かわいい。俺、付けようっと」

(か……可愛いって、ストラップのことだよね?)

翔太は自分のスマホに、コアラのストラップを取り付けた。

「イケテル?」

 大の男のスマホにコアラのストラップ。とうていイケテルとは言い難い。

「とってもいい感じだぜ、翔太」

駿がからかうように言うと「だろ?」と翔太が返している。

「もう、バカなことやってないで帰るよ」

真奈美の一声でおひらきとなった。
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