Taste of Love【完】
「するどいね……。でも私お見合いの話聞いてないよ」
「そうなんですか?私も総務課の同期が話していたのを聞いただけなんで。余計なこと言いました。すみません」
「雅実ちゃんが謝るようなことじゃないでしょ? 今度それとなく聞いてみるよ」
風香は雅実の肩をポンっと叩いて、一緒に給湯室を出た。
「じゃあ、私このまま浅見さんのところに行くから」
元気よくエレベーターに向かうが、心の中は先ほど雅実に聞いた話に占領されていた。
(翔太がお見合いってどういうこと?だってついこの間、私に……)
言いようのないモヤモヤとした感情が胸に渦巻く。
(でも、私は口出しできる立場にないもの)
翔太の告白に対して、まだYESともNOとも返事をしていない。
もし雅実の話が事実だとしても、そんな宙ぶらりんの風香が翔太に問いただすことなどできるわけがなかった。
会社を出て、駅までの道を歩く。十二月に入ってそこはクリスマス仕様に飾り付けられていた。
いつもなら、心躍らせるその風景も今の風香には、何の意味も感じられないものだった。
「そうなんですか?私も総務課の同期が話していたのを聞いただけなんで。余計なこと言いました。すみません」
「雅実ちゃんが謝るようなことじゃないでしょ? 今度それとなく聞いてみるよ」
風香は雅実の肩をポンっと叩いて、一緒に給湯室を出た。
「じゃあ、私このまま浅見さんのところに行くから」
元気よくエレベーターに向かうが、心の中は先ほど雅実に聞いた話に占領されていた。
(翔太がお見合いってどういうこと?だってついこの間、私に……)
言いようのないモヤモヤとした感情が胸に渦巻く。
(でも、私は口出しできる立場にないもの)
翔太の告白に対して、まだYESともNOとも返事をしていない。
もし雅実の話が事実だとしても、そんな宙ぶらりんの風香が翔太に問いただすことなどできるわけがなかった。
会社を出て、駅までの道を歩く。十二月に入ってそこはクリスマス仕様に飾り付けられていた。
いつもなら、心躍らせるその風景も今の風香には、何の意味も感じられないものだった。