きっと上手くいく

「千尋ちゃん」

「ごめんね。少しだけこのままでいて」

その胸の中で泣いた。
フワフワした
柔らかい感触で
子供の頃
お父さんが買ってくれたクマのぬいぐるみに似ていた。

温かい。

遠慮がちに健ちゃんの手が私の背中に回る。

「今日はどこか泊まりたい。家に帰りたくない」

「……わかった」
何かを決意するように
健ちゃんは男らしく返事をする。


その後は
もう……そのまま
私達はホテルにチェックイン。

「泣いたらお腹空いたでしょう。千尋ちゃんは何が食べたい?飲み物とお菓子も買ってくるね」

わざと明るく健ちゃんは私に聞き
私が『ピザ』って言うと

「買ってくるね」って買い出しに行ってくれた。

きっとその時
ゴムも買ったんだろうね。

どんな顔して買ったんだろう。
初めてのお買い物だったかも
想像すると
笑えるような申し訳ないような気持ちになってしまった。

和也から何度も連絡が入ってたけど無視。

食事をして
健ちゃんと和也とはゼンゼン関係ない話をして

そのまま

抱かれた。



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