きっと上手くいく

あのデブと
何発ヤッたんだろう

それしか頭にない俺もサイテーだけど
千尋に結婚拒否され
『出て行け』言われた俺の現実逃避ネタには丁度いい。

キラキラ輝くムダに明るい照明の下
適当に接客しながら
普通のOL・主婦・お店上がりのキャバ嬢の耳元で甘い言葉を囁く俺。

飲んで騒いで
楽しいノリで稼げるけれど

今日はダメだわ俺。

千尋の顔しか浮かんでこない。


ひとりで
どうやって子供育てんだよ。

あいつの実家ったって
ほどんど縁もないだろうが。

「和也がキスしてくれたら、シャンドンのロゼ入れよっかなー」

「キスだけでいいの?」

「今はそれでいい」

俺は女に手を伸ばし
肩を抱いて唇を重ねた。

周りが大げさすぎるほど騒ぎ
『シャンドンロゼいただきましたー』ヘルプが叫ぶと、客を姫扱いしながら俺達の周りをホストが囲む。

女はキラキラ輝く
シャンデリアの下
男達に崇められ
チヤホヤされてお姫様気分。
全ては自分の為に回ってる。金銭感覚が無くなる即効性の毒が回る。

そして家に帰り
我に返って財布の中を見つめると
後悔するだろう。

でもその後悔はドラッグのようにクセになり
自分では止められない。

キスなんて誰とでもできる
相手の顔は札束だと思えばいい
握手と一緒。
すれ違いざま
ぶつかり合う程度のもの。

エッチも同じ
互いに気持ちよければそれでいい。





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