きっと上手くいく
それから夜中の2時まで色々な話をし
千尋は眠りにつき
デブは席を立つ。
「泊まれよ」
こんな夜中に帰るのか?
俺は泊まるぞ。
帰りがけに靴を履いたデブにそう言うと
「山岸さん……僕は……」って真剣な声で俺に言う。
「何?」
「この場所にいていいんですか?」って聞くから、頭をド突いてやった。
「お前が嫌になったら来なくていい」
「はい」
「クリスマスにケーキ買ってこいよ」
「はい」
デブは涙目でうなずき
アパートを出て行った。
あいつ
どんだけ泣けば気が済むんだろう。
千尋は寝て
デブは帰る。
俺は電気を消して
千尋の元へ行き彼女の横に寝ころび、その身体をそっと背中から包む。
彼女のリズミカルな寝息が子守唄のように聞こえ
安心して俺は目を閉じる。
「ありがとう」
ふと眠りに落ちる前に声に出た。
それは自分でも
誰に対しての言葉なのか理解不能で
でも今日の日に
ただ感謝でいっぱいで
涙が少し溢れてしまい
デブの事言えないじゃんって自分でひとりツッコんで
背中越しに千尋のお腹にそっと手を添える。
大切にするよ
愛してる。