きっと上手くいく
「え?私ですか?」
心から驚かれてしまった。
だよね。
「すいません。変な話をして」
嬉しくて浮かれて誘ってしまった僕。
「いえいえ。さっきの私の散歩を誘った話も変な話でしたし」
伊藤さんはまた微笑む。
一重の目が細くなる。
「でも、可愛いですね。誘ってくれて嬉しいです」
大人の対応をされた僕。
なんだろう
昔の僕なら絶対ここでは折れるだろう。
失礼な事を言ってごめんなさいと……でも、今は違った。
「見に行きませんか?僕もひとりで病院に入るのは場違いで心細くて」
ひと押ししている自分が信じられない。
伊藤さんはうつむき
困っていた様子だったので、僕は我に返った。
「すいません。困らせるつもりじゃなかったです。忘れて下さい。ごめんなさい」
慌てて頭を下げて謝ると
「いえ違うんです。行きたいんです」
そう言って画像をもう一度見つめる。
「最近、小さな赤ちゃんを見てないので見たいなぁって。赤ちゃんって見たら元気をもらえるじゃないですか。オーラがあるというのかな。でも全然関係のない私が、誘ってもらえたとしてもいきなり行くのはご迷惑かと思いますし」
「大丈夫です」
「いいんですか?」
「そんなに長くいませんし、大丈夫です。歓迎してくれると思います」
勝手にそう言ってしまった。
疲れてるからすぐ帰ろうと思っていたし
千尋ちゃんと山岸さんは
邪魔に思わないだろうって……妙な自信があったから。