きっと上手くいく

いつも出勤の時に前を通るけど
母が弁当を作ってくれるから僕には必要もない店だった。

小さなお弁当屋さんで素朴な家族経営のイメージがある。

「いらっしゃいませ」
ガラスのカウンターの向こうで赤いエプロン着用の女の子がいた。

あ……可愛い。
久し振りに女の子に思ってしまった。
思うだけならいいか。

メニューを広げながら悩んでしまう。
弁当なんてコンビニでもめったに買わないから、どうしていいかわからない。

背中越しに次の人がイラッとしながら視線を僕に刺していた。

「えーっと……なんでもいいです」
煮え切らない自分に嫌気が出て、ついそんな答を出していたら

「それはダメですよ。お弁当に失礼です」
小柄で丸い目をした女の子が僕に抗議する。
僕はそれこそどうしていいかわからず悩んでいたら「じゃぁ私が決めますね。お兄さんに食べてもらいたい美味しいお弁当を私が決めます」って言って

笑った顔が

とっても可愛くて


僕は

一瞬で

恋に落ちていた。



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