きっと上手くいく
仕事と私生活は別……の、つもりがミスばかり続く。
『石橋さん。大丈夫?』
心配されながら作り笑いをし、お昼も抜きで仕事に励む。
何かしてないと心が折れる。
家に帰る道。
千尋ちゃんのバイト先であるお弁当屋さんを通り過ぎる。
ドキドキしながら通り過ぎる。
今日も休んでるはず
昨日あんなに顔色も悪くて
ずっと寝てるはず
彼が勝ち誇った顔で看病してるのだろう。
トボトボと名残惜しく店の前を通り過ぎると
「健ちゃん」と、名前を呼ばれた。
背中に電流が走った気分。
ゆっくり声がした方を振り返ったら
お店のエプロンを着け
白い大きなマスクをした千尋ちゃんが笑顔で僕を呼び止めていた。
「そろそろお店の前を通る時間だから待ってた」
笑顔が可愛い。
「身体は?大丈夫なの?」
一歩ずつ彼女に近づくと
胸の高鳴りも大きくなる。
「大丈夫だよ。少し待ってて、帰り支度してくるから一緒に帰ろう」
「あ……」
「絶対絶対ぜーーーったい。待っててね」
彼女は何度も僕を確認しながら振り返りながら、お弁当屋さんに戻って行った。