きっと上手くいく

「健ちゃん」

「何?」

「お腹空いた。軽く何か食べたいな」

エヘヘと千尋ちゃんは笑い
僕もその顔を見てつられて笑顔になると

「健ちゃん、やーっと笑ってくれた」
ひと安心って顔をする。

「……昨日ごめんね」
僕はゆっくり歩きながら彼女に謝る。
歩きながら同僚とすれ違い『え?まじ石橋さん?』って二度見され、軽く頭を下げると千尋ちゃんもそれに気付き深く頭を下げて笑顔を返す。

明日
役所でヒソヒソ言われそう。
僕みたいなデブでオタク系でモテない男が、こんな可愛い子と一緒に歩いてるなんて奇跡だろう。

僕も奇跡と思ってる。
そして彼女のお腹には
もしかしたら僕の子供がいて

あのホストがいなかったら

めでたし
めでたし……なのだろうか。

「謝るのは私の方だよ。和也が失礼な事言ってごめんね。バナナ美味しかったよ朝ご飯にした」

「ポテチとコーラなんて常識ないよね」

「いい組み合わせで好きだよ。元気になったら食べるんだ」

「僕……いままで……その……彼女とかいなくて……」
ふがいない自分を説明しようとしても
上手くできなくて
もっとふがいなく思う

要するに残念なヤツってホストの彼なら言うだろう。

「サンドイッチもいいねー」
彼女は僕の話を聞かず
僕の腕を引っ張り
サンドイッチメインのファーストフード店の入口に入ると


「健一?」

家でよく聞く声が今日はよく響いていた。
スーツ姿の兄の声は
驚きで満ち溢れていた。





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