きっと上手くいく

「いや……あの……堂々としていて」

僕に無い物ばかり持っている。

「あ、健ちゃんのお兄さんなのにごめんなさい。私、あーゆータイプあんまり好きじゃなくて……って、ごめんなさい。堂々と言っちゃったゴメンね」

「ううん。僕も……慣れてるけど……あんまり好きじゃないから」

「でも、家族の悪口だから嫌だよね。もう言わない。ごめんね」
紙ナプキンで唇を拭き
あらためて彼女は僕に謝った。

「いや……その……食べて」

「うん。ありがとう」

千尋ちゃんは美味しそうにサンドイッチを食べ、僕はそれを見ているだけで幸せになる。

「身体は順調?」

「うん。昨日だけ調子悪かった。またもしかしたら安定するまで体調悪くなる時があるかもしれないけど、その時はその時で頑張る。バイト先が理解あるから助かるよ」

「そっか……」

「健ちゃん?」

「何?」

「この子は私の子だから」

返事ができない。

「迷惑かけてごめんね。和也の子か健ちゃんの子かわからないけど、私の子っていうのは間違いないから。私の子として育てる」

千尋ちゃんの芯は強い。

「ふたりの男性を好きになるってありえない話だと思ってた。絶対ありえないって……でも、自分がそうなってわかる。私は健ちゃんも和也も好きになって……抱かれて……こんなんなって……これは私の罪だよ。誰にも迷惑かけたくない」

「千尋ちゃん……でもね」

僕も言わなきゃ
自分の気持ちを伝えなきゃ。
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