きっと上手くいく
「僕は千尋ちゃんが好きなんだ」
早く言わなきゃ彼女が目の前から消えてしまう……そんな想いにさせられて胸の鼓動が速くなる。
「僕は外見もこうだし、イジイジしていて情けない男で、女の子と付き合った経験もない。
でも千尋ちゃんを見てずっと憧れていたんだ。千尋ちゃんはキラキラ輝いてた」
「……輝いてないよ」
「いや輝いてた。いつも笑顔でキラキラしていて、僕は千尋ちゃんを見るだけで毎日のつまらない日常が楽しくなってきて、急接近できて……あの……」
「せっくすしちゃったね」
こっそり彼女が言い
僕は胃の奥からカーッと熱くなりうろたえる。
「大丈夫?」
「うん」
コップの水を一気に飲み、ついでに氷も飲み込んだ。
これでも足りないくらい
熱くなってる僕。
初めて千尋ちゃんを抱きしめた時
女の子の身体ってこんなに柔らかくて小さいんだ……って思った。
「一緒に暮らしている彼がいて、その彼の事が大好きなら別にいい」
彼は綺麗な顔をしていた。
「でもお腹に子供がいて、もしかしたら僕の子で、ひとりで育てるつもりなら、僕はあきらめない。昨日の彼より僕は劣るけどやっぱり千尋ちゃんをあきらめきれない」
僕とは正反対の綺麗な顔。
目の前がゆがむ
千尋ちゃんが心配そうにガーゼのハンカチを僕に差し出した。
あぁ僕は泣いている。
千尋ちゃんを彼に取られそうで泣いている。
「たとえ彼の子でもいい。千尋ちゃんと結婚して子供を育てたい」
絶対勝てないけど
絶対勝ちたい。
だって
こんなに好きだから……。