きっと上手くいく

美容室を出ると3時半。
今日は休みだから俺が夕食当番。
千尋も5時過ぎには帰るだろう。

転職したくて『店を辞めます』宣言すると
次の日事務所に呼ばれ
店長とオーナーに泣く泣く引きとめられた。

スッパリ切ろうと思ってたけど
店長が先月デキ婚したのを思い出し、変な情が湧いた。

冷たい風が吹く季節
秋なんてすぐ終わる
冬が来て
春になり
子供が産まれる。

俺の子が産まれる。
ここ重要!

千尋は千尋なりに悩んでる。

いや当然だろう。
悩んで当然。

どっちの子かわからないし
それでも育てるっつーし
ひとりで育てるっつーし
俺は出て行かないし

俺よりあのデブが好きで
子供はデブの子だって……言ってくれたら俺は素直にあきらめるし、家を出るけど

千尋は正直で
嘘がつけない。

だから悩んでしまう。

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