きっと上手くいく
「健ちゃんは、私のお腹の赤ちゃんの父親……かもしれない人」

千尋が言うと

「『かもしれない』ではないでしょう。僕がお腹の子の父親です」

これ見よがしに
ドヤ顔で俺に言う男。

何だこの展開。
ふざけてるのか?
こんな男と浮気してたのかよ。

「お前、浮気してたのか?」
思わず声を荒げると

「和也だって沢山遊んでるでしょう。部屋代も入れないし」

痛い所を突かれたし。

「ここは私の家だから、出て行って」

真剣に言われた。

そうか
そうなのか。

こんな男と寝てたのか。

怒りにまかせ立ち上がろうとすると

「でも、赤ちゃんは和也の子かもしれないの」

身体中から力が抜ける。

「千尋ちゃん」
小太り男が鼻の汗を拭きながら千尋に詰め寄る。

「正直に言うと、健ちゃんか和也の子なの。それは間違いないけれど、自分でもわからない」

いつもふわふわ笑ってる子が、真剣な顔をすると怖いものがある。

「だから、この子は私の子なの。ふたりとも関係ないから」

きっぱりと

言われた。

< 5 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop