きっと上手くいく
愛情
「最近、雰囲気が変わりましたね」
終業時間になり
机の上を片付けていたら
同じ課の女の子の声が聞こえ
最初
僕の事とは思わなかった。
「えーっと、こざっぱりしたというのか……」
「それは失礼じゃない?」
「じゃ、若くなったというか……」
「それも失礼だよ」
クスクスと僕を見て女の子達が笑うので
僕もそこでやっと自分の話と気づき顔を上げると
「悪い意味じゃないですよ」
「そうそう。前より明るくなったのでいい方向です」
楽しそうにそう言い
「お先に―」って逃げるように目の前から消えてしまった。
こざっぱりした……若くなった……。
昔のネガティブ思考の僕ならば
そう言われると『前はそんなに汚かった?老けてた?』って思ったけど、今の僕は『それはよかった』って喜ぶようにしている。
あの日
山岸さんに言われ
心の奥がズーンときたんだ。
僕は全て人のせいにしていた。
イジイジしていて
ひがみっぽくて
性格が曲がっていて
すぐスネて
とにかく嫌なヤツだった。
人間急には変われない。
環境だって変わらない。
けど
少しずつ
自分の中で何かが変われる気がした。
こんな僕の小さな決意だけれど
いや……たぶん
世の中そんなに甘くないから
挫折するかもしれないけれど
山岸さんに言われて
心の奥がズーンとくるならば
僕にもまだ頑張れる気持ちがあるんだなぁって素直に思ったんだ。