きっと上手くいく

もう
千尋をあきらめたのかな。

それで正解だけど
スッキリしない。

俺の料理を美味しそうに頬張るデブの顔を思い出す。

ドスドスとデカい身体で
転がって来た方が早いのに
俺に向かって走って来て『お友達からお願いします』って路上で声を上げてたっけ。

洗いものは上手だった。

クイズ番組が得意だった。

俺の好きなビールの銘柄も覚えてた。

って
何これ
別れた女に対する目線だろ。

ゾッとする。
背中寒っ!
早くケーキ買って帰ろう。


今日辺り
美味しいコーヒー豆をおみやげに

デブも来るだろう。


寒くなってきた
もう秋も終わるかな。
冬が来るかな。

今年のクリスマスは
もしかしたら三人か?

イブは我慢して置いてやるか
25日は千尋とふたりきりで過ごしたい。

まぁ

イブなら……三人でもいいか。
お腹の子もいるから
三人半かな。

冷たい風を受けながらも
俺の心は温かく
千尋の待つ家に向かった。








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