きっと上手くいく
この流れはどうしたらいいのだろう
どうすればいいのだろう
場馴れしてない僕には収拾は無理。
『なーんてウソですよー』って、軽く言ってくれないかな。
何となく逆に気まずくなってると
あちらのテーブルで女の子が盛り上がる。
複数で立ち上がり
別の場所に行ったり戻ったり
数人で騒いでるし。
「やってらんなーい」
許可なく回覧板に僕の名前を書いた隣の席の後輩が、酔って崩れて僕と伊藤さんの足元にやってきた。
「あっちの方にイケメンがいるんですってー」
子供のようにふくれて彼が言い、伊藤さんは「あらーっ」と背筋を伸ばす。
何だかんだ言いながら
伊藤さんもイケメンに興味あるのだろう。
そんなもんさ。
「うちの女の子達がトイレに行った時、そのイケメンをチラ見してたら、あっちも目が合ったかなんだかわかんないんですけどぉー!」
大きな声で僕達に訴える。
「なーんか話がまとまってー。あっちに夢中になっちゃってー。そりゃないだろーですよー」
よくわかんないけど
世の中 顔だから。
日本中で僕が一番よくわかってる。
そんなもんさ。
目の前のグラスに水を注ぎ後輩に渡す。
「アドレス交換で盛り上がって、三次会もそっちに流れそうですよ。石橋さん何とかして下さいよー」
「ぼっ僕なんてダメだよ」
イジられて終わる。
「あ、来た!うちの女の子達が奪われる。バシッと言ってやって下さい。三次会は男ばかりでカラオケなんて嫌ですからね」
僕はそっちの方がいいけど
顔を上げると
確かに背の高い都会的な男性がやって来て
こちらをチラ見してから、うちの女の子達と何やら話をしていた。
うん。
知らない人が勝手に来て
女の子達と盛り上がるのも嫌な雰囲気。