きっと上手くいく

『好きだよ』
和也の言葉に嘘はない。
ただ他の人にも、沢山言ってるだけの話。

ホストという職業だから仕方ない
甘い言葉を聞かせて
お客さんを気持ちよくさせるのが仕事だもん。

でも
他の女の人と寝るのは嫌だった。

枕営業……って言うのだろうか
自分のお客さんにする為にアフターでデートして寝る
よくわからないけど
よくある話らしい。

見え透いた嘘を言い
女の人と出かけて泊まって来る。

悔しくて悲しくて。

和也は自分の家に仕送りをしていた。
お父さんが保証人になってしまいお金が必要で、稼ぎのほとんどを送金していた。
『借金を早く終わらせて、自分も自由になりたい』
その言葉が耳に残り
私も文句を言いずらくなる。

心の中で悶々としてしまい
ある日の仕事終わり
和也からLINEで【ごめん。今日は友達の家に泊まる】って伝えられた時、あぁまた女の人の所か……そう思ったら涙が止まらなくなってお店の裏で泣いてたら

健ちゃんに声をかけられた。

いつもお昼にお弁当を買いに来るお客さん。
カウンター越しに声をかけたら
真っ赤になって返事もしてくれないお客さん。
横に体格がよくて
メガネの奥に細い目があって
話しかけても返事がないから、私の事が嫌いなのかなって思ったけど……逆だった……気にしてくれてたんだ。

健ちゃんはオドオドしながら
私に話しかける。

誠実で優しく
いたわるような話し方だった。





< 96 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop