きっと上手くいく


健ちゃんは癒しだった。

和也の事が好きだから
和也が他の女の人と寝ている事実を忘れる為
健ちゃんに逃げていた。

何度か会うたびに
その優しさに救われる。

和也にない誠実さが私を包む。

これは浮気ではない
健ちゃんはただの友達。
優しい友達。

自分に言い聞かせながら
和也と暮らしながら
健ちゃんと会う。

この時点でアウトでしょ。

どこかマヒしている自分が怖い。

『俺は千尋が一番好きだよ』
真剣な顔で和也は言う。

それは真実だと思う。

優しいキス
甘い吐息
ゆっくりと大切に
和也は私を抱く。

『千尋は俺のお姫様』

『営業用セリフ?』

『感謝しろよ。お前にしか無料で言わない』

『嫌な言い方』

『違うって……それだけ本気。どーしてわかんない?』

甘い甘いキスをして
彼は私を溶かしてしまう。

どうして

わからなかったんだろうね。

でも
今はわかるよ


こんなにも
和也が大好きだって事。


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