きっと上手くいく

後から後から
色んな想いがやってきて
私の心を押しつぶす。

ギュッギュッって……押されてる。

『少し考えて行動しろよ』
和也の声が聞こえそうだ。



そうだけど

和也も悪いんだよ。


あの日……。

あの夏の日
雨上がりの夏の日

「和也の彼女?」
背が高くて
オフィス帰りの
いかにも仕事できますって雰囲気の女の人に、私はアパートの前で声をかけられた。

「はい……」
嫌な予感でいっぱいになりながら
私が返事をすると
彼女は勝者の笑みを浮かべる。

「可愛い人ね。そんな身構えないでよ。私はただの和也の客」

「はい」

「和也に言っておいて。『もう店には行かない』って」

「あのお名前は?」

「先月、毎週木曜に寝た女でわかると思う」

「そうですか」
リアクションはどうすればいいのだろう。
バカにされてるから
騒いだ方がいいのだろうか。

「あいつ……私の後輩もカモにしてね、そっちとも寝てた」

「バレるなんてバカですね」
溜め息交じりにそう言うと
彼女はとても楽しそうに声を上げて笑った。

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