恋愛心工事中。
『乗れ』
学校を出て電車に乗って、揺られること約20分。
壱は自分の黒い自転車を指差した。
―ここは壱の家の駐輪場。
ものすっごくキレイなマンション。
いかにも最近出来ました~感をアピールしとる。
(↑はい?)
でっかくそびえるマンションの入り口の左手に、これまた大きな駐輪場があって、セレブっぽい。
…にゃ、にゃんだこりゃあ!?
あたしがアホ面でポカンとしていると…
『美羽?乗れ』
壱はいつのまにか自転車に乗り、目で自分の後ろに乗れ、と言っている。
ぎぇえ!?2ケツ!?
壱と!?
青春ドラマかよっ!!
『何固まってんの。
早く乗れよ。家に帰れなくなんぞ?』
その言葉を聞いて、あたしは素早く壱の後ろに乗った。
香水ではない、自然の壱の香りが鼻をくすぐる。
き、キンチョーするから……(照)
『掴まって』
…………あ。
そ、そっか…。
ドクン…ドクン…
あたしはそっと壱の背中に腕を回した。
心臓の音が聞こえてしまいそうだった。
一見、細いのに程良く筋肉がついているようで。
それが男の子なんだなって思ったら、余計顔に熱が上がった。