恋愛心工事中。



あたしが壱に回している左手をとった。




『…ちょっと冷てぇ』



壱は、片手運転をしながら、あたしの手を握っている。




「なっ…何してんの!?」


急に手をとられて…顔に熱が上がった。





『手ぇ繋いでんの』


いや、それは分かってるけど!?





「離せ!」
『やだ』



何この我が儘男!





「片手運転は危ないでしょ!?あたしが怪我したらどーしてくれんの!?」



危なっかしい!





『んー』


壱はそのまま運転を続けている。




握られた左手が熱い。







『死ぬかもな』



道が下り坂になった時、壱は平然と言った。





ぎゃ!?死ぬだとぅ!?







「やめてよ!
怖い怖い!」


下り坂でスピードがついてきた自転車は、ある意味ジェットコースター状態だ。





「マジであたしが死んだらどーすんの!?」




泣きそー!!
やべぇ怖いんですが!?






あたしは無意識の内に、壱の手を強く握りしめていた。













『その時は俺も死ぬよ』




………へ?





ねぇ…今…
とてつもなく……



キザ~な発言…
致しませんでしたか?





でも、そんなキザ発言もサマになっているから、悔しい。




「あたしは死にたくないもん!壱だけね!」


『さみしーな。
美羽の居ない所なんか行きたくねぇ』





………!?!?!?





かぁっと頬が火照った。






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