恋愛心工事中。
『……美羽?』
少し、低い声。
でも、どこか聞いた事のある声…
目の前から声がして、あたしは顔をあげた。
………え?
一瞬、頭がおかしくなったのかと思った。
けど………
それは…一瞬で、目の前に立った人が誰だか分かったって事だ……
…まだあたしの頭の中には……
『やっぱり』
今、目の前に少し寂しそうに笑う……
あたしの頭の中からは…この……
琉依は消えてないんだ………
「……琉…依?」
あたしがかすれた声で呼ぶと、琉依は口の端を少しだけあげた。
『何か、雰囲気変わったな』
琉依も…何か変わったけど……
やっぱり、昔のままの笑顔だった。
夢………?
知らぬ間に落としていた携帯が足に当たった。
……あ…
素早く携帯を拾った。
…落とした衝撃で、壱との通話は切れていた。
でも、今のあたしには…そんな事、少しも頭に無かった。