恋愛心工事中。


『家出したから』


淡々と言い放った琉依に、思わず言葉を失った。





「……何で…?」


家出……?



現実味の無い言葉に戸惑う。





『あんな親父の言いなりにはもうなりたくねぇから』



…………。



「琉…依…」




そうだ……

琉依は…お父さんの期待に答えられなかったら、殴られるんだ……





「心配してるよ!?」


あたしが言っても、琉依は悲しそうに笑った。





『親父は相変わらず兄貴ばっか。
俺なんかどうでもいいみたい』




そんな……


「お母さんは…?」




琉依のお母さんは、授業参観で見た事がある。


綺麗で品があって、優しそうな人だった。






『お袋も…親父に暴力振るわれてた』



………え?





あたしは目を見開いて琉依を見た。






「…お母さんも?」



琉依は小さく静かに頷いた。






< 141 / 440 >

この作品をシェア

pagetop