恋愛心工事中。
『家出したから』
淡々と言い放った琉依に、思わず言葉を失った。
「……何で…?」
家出……?
現実味の無い言葉に戸惑う。
『あんな親父の言いなりにはもうなりたくねぇから』
…………。
「琉…依…」
そうだ……
琉依は…お父さんの期待に答えられなかったら、殴られるんだ……
「心配してるよ!?」
あたしが言っても、琉依は悲しそうに笑った。
『親父は相変わらず兄貴ばっか。
俺なんかどうでもいいみたい』
そんな……
「お母さんは…?」
琉依のお母さんは、授業参観で見た事がある。
綺麗で品があって、優しそうな人だった。
『お袋も…親父に暴力振るわれてた』
………え?
あたしは目を見開いて琉依を見た。
「…お母さんも?」
琉依は小さく静かに頷いた。