恋愛心工事中。


「琉依…あのね…
壱から聞いたんだ…」


琉依は目を見張った。



『壱…から…?』


あたしは頷く。






「壱と同じ学校にいたんでしょ?」

あたしの問いに頷く琉依。





「あたし…壱と偶然カラオケで会って…
一目惚れ…された、みたいで」


『うん、知ってる』





「そしたら…壱があたしの学校来て…」





あたしは息を吸った。






「壱、話してくれた。
琉依は…あたしの事…好きだったんでしょ?」




涙が止まらなくて。


俯いて話すあたしを、じっと見つめる琉依。






そして、小さく息を吐くと、琉依はこう言った。









『好きだったよ』




……………っ。


心が乱れる。


覚悟していた事だった。





でも、あの日を思い出すと苦しい。

琉依の嘘・演技を聞いたあの日。




あれを信じたあたしは馬鹿だ。

あれは琉依の嘘・演技だったのに。





自分の中の琉依を…信じなかった。



あれから、琉依と話そうと頑張れなかった。







全部、あたしのせい。







琉依があたしのために…嘘ついて。


友達にまで演技して。




それなのに、親に殴られて。
母は居なくて。


今は一人暮らしで…






泣き続けても、償いにはならない。





けど…泣く事しかできない。







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