恋愛心工事中。
『美羽』
そう言って琉依は目を擦り続けるあたしの手を握った。
『目、腫れるぞ』
変わってない。
琉依が、こんなに優しい事…
『分かったから。
俺も美羽の立場だったら許せないし』
琉依は、そっとあたしの頭を撫でる。
温かな、柔らかな手に、懐かしさと恋しさを覚える。
この手を、デートの時に繋いだよね。
「琉依は…今…彼女居ないの?」
小さな声で言うと、琉依は笑った。
『居ねぇよ、あいにくモテなくてね』
タバコの溜まった吸い殻を、携帯灰皿に入れる。
「…好きな人は?」
目の前にしゃがむ琉依に尋ねた。
すると琉依は寂しそうに笑う。
『今日会っちまったのが最悪だな』
琉依はあたしを見つめ返す。
その綺麗な瞳に、どれだけ恋をしていたんだろう。
本当に、あたしは琉依が好きだった。
あの時は、本当に…楽しかった。