恋愛心工事中。

『俺、今までずっと美羽に悪い事したなって考えてた』



タバコの先が少し赤くなって、煙りが溢れた。





『会って話したいって思う事、何度もあった。けど、俺には勇気なかった』




…………。




あたしは琉依と見つめ合う。


あたし達が別れてから、初めてだ。

こんなに近くに琉依が居て、目を合わせる事。






『やっぱり美羽が忘れられなかった。
壱がお前の高校行く時、美羽に惚れたって聞いて…』


「うん…」






『正直、悲しくなった。壱は良い奴だし、美羽は俺の事なんか、とうに忘れてるって思ったから…』







ううん。


あたしは勢い良く頭を横に振った。






『壱と付き合ってくれれば…美羽は幸せになれるんだろうって思った。
思ったけど……』





琉依はタバコを灰皿の中で潰した。




まだタバコの香りの残った空気が、胸を締め付けた。