恋愛心工事中。
『俺は美羽と壱が付き合えば良いんだって、自分に言い聞かせてた。』
琉依は立ち上がってあたしに背を向けた。
『でも、心から望んでなかった。
お前と壱が付き合う事を。』
ドキン…ドキン…
琉依に会った時から変になった心臓が、更に変になる。
背中を向けている琉依がどんな表情をしているのか…
『その時、俺、気付いたんだ』
琉依の頭の上に浮かぶ月は、綺麗な満月だった。
ドキン…ドキン…
『俺…まだ美羽の事が好きみてぇ』
………え…
ドキドキしていた心臓が、またスピードをあげた。
頭が真っ白になりそうになって、息の仕方も分からなくなりそうで。
「…嘘……」
琉依は、琉依は
まだあたしを好きでいてくれた…?
頭が混乱して、
息が出来なくて、
おかしくなりそうになる。
あたしの目に映る満月と琉依の背中が、色を無くして見えた…。