恋愛心工事中。
有美は自席に着き、携帯をいじりはじめた。
『美羽さぁ、壱君と付き合えば?』
有美は携帯から目を離さず言った。
「へっ!?」
付き合っ……!?
「何でよ!?」
『あたしは、美羽が何で男嫌いになったのかは知らない。
でも何か理由があるんでしょ?』
…………。
分かってたんだ。
『それは言えるようになったら言って良いよ…?
けど…過去を気にする事、無いよ』
有美は携帯を閉じて言った。
目線はあたしとは合わせずに。
それは…まるで…有美が自分自身に言いきかせているようだった。
『美羽の事を幸せにするのは過去じゃない…壱君だよ』
その言葉を聞いて、胸がドキンとする。
まるで、あたしが壱を好きみたいで…
……違う。
違うのかな。
分かんない。
分かんないよ。
あたしは…壱を…
好き……なの?
あたしは今だ目線を合わせない有美を見た。
言おう。
言わなきゃ…
有美に言わないなんて出来ない。
あたしは決心した。