恋愛心工事中。
いつもシャンと伸びた背は、少しだけ猫背で。
ズボンのポケットに手を突っ込んで歩く壱の背中は、
別人みたいに寂しそうだった。
壱の背中が見えなくなるまで見送り、あたしは歩き出した。
―――
――
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『美羽、そんな急いでどうした?』
部活終了後。
急いで下駄箱へと向かうあたしの後ろを歩く京司が尋ねた。
「ちょっと用事があるから!」
あたしが後ろを振り向きながら言うと、京司はニヤッと笑って、
『何だ?
壱とデート?』
そう言った。
半分正解。
だけど言える訳が無いでしょ。
「違う!!」
京司を睨んで、あたしは足をもっと早めていく。
『そこはノれよ』
京司は"つまんねぇ"と言うように、声のトーンを下げた。
京司がトーン下げるとマジ怖いからやめてっ(泣)
『良いよな…』
京司が後ろでポツンと呟く。
「へっ!?ごめん、何が!?」
『いや、独り言』
後ろを見なかったから分かんないけど。
京司は寂しそうな声だった。
どうしたんだろ…?
あたしは振り向いて京司を見た。
京司と目が合うと、京司は苦笑いして"早く行け"と目で促した。
不思議に思いながらも、あたしは早く歩いていった。