恋愛心工事中。
「逃げませんから、ご安心を。」
あたしは先生に口早に伝えると、ササッとトイレへ。
バタンッ
個室に入る。
「マジうざぁ!!」
誰も居ないため、あたしは声に出して顧問を批判(命知らず)
あの顧問め…
京司への態度が!
まぁあたしへの態度もウザいけども!
あたしはフタの閉まったままの便座に腰掛け、携帯をバッグから取り出した。
先生に見つからないようにトイレへ来たってワケ。
別にウチの高校は校則緩いから、先生の前で使っても大丈夫なんだけど…
あの顧問の前で使ったら取り上げされるからだ。
あたしは携帯のボタンを何回か押して、携帯を耳に当てた。
♪PLULULU……
ドキドキ……
呼び出し音と、あたしの鼓動がリズムを刻む。
自分から電話をかけたのに、壱に出てほしくない、なんて思ってしまう。
ギュッと携帯を握り締めていた。
♪PLULULU……
まだかな…?
♪PLULU…LU
あっ、
『…もしもし』
壱の、声。
「あっ、えとっ…」
言葉が出ない。
無意識にトイレットペーパーをガラガラと引っ張ってしまった。
(…うわっ)
あたしはトイレットペーパーを慎重に戻しながら、深呼吸をした。